モテコの晩酌日記

食べたもの、飲んだものを記録しています。※モテてはいません。

モンキームーンは不良僧侶のチャラ男だった話1

21歳のとき、堀田あきお、かよさんや蔵前仁一さん、たかのてるこさん、ナオト・インティライミさんの本に影響されて、初めて一人で海外へ行った。

行先は、タイ。

本によると旅人が集まる場場所らしいし、お金も安く抑えられるし、昔タイ人のホストファミリーをしていたこともあって馴染みがあったし、何よりその時タイ料理にはまっていた。

そういえば、ホストファミリーをしていたタイ人の女の子、ピンは、なぜかエビフライと味付き海苔とコーラが大好きな変わった子だった。

 

私は近所の小さなアジア料理屋でバイトをしていた。

口の悪い店長には、「皆が就活してる時期に、タイ料理が好きだからタイに行くなんて馬鹿じゃないの」「タイでもヤリマンなの?」と批判されまくった。

一応ヤリマンではないことは主張して、お土産は何が良いか聞くと、お店用の箸置きとお箸を買ってきてほしいと言われた。

「でもお前、センスないからなー。」

やっぱり一言多い店長なのである。

 

そして、今回の目標の1つは、バックパッカーになること!

出発2週間程前に、池袋のアウトドアショップL-Breathで大きいリュックを購入した瞬間に、本で見た世界が現実になるんだ!と実感して、わくわくが止まらなかった。

その他、南京錠やビニールケース等の小物を含めて準備に2万円程かかった。

 

出発の約1週間前、母が仕事で東京に来たので、ご飯を食べに行って今回の旅行のことを話した。

「え?1人で行くの?何で?2週間も何しに行くの?ホテル取らないの?馬鹿じゃないの?」という感じだったけど、バンコクで会社を経営する方を紹介してくれて、現地でご挨拶に行くことを約束した。

 

出発日当日。

早朝の飛行機のため、朝4時に起床、というか、ほとんど寝られなかった。

2週間くらい前から買い物をしていたにも関わらず、荷造りを始めたのは前日で、最後の確認をして慌てて出発すると、外は大雨が降っていた。

私は雨と寒いのが大嫌いで、冬や雨が降っている日は外に出るのも億劫になる。

11月の大雨。

でも、日本は寒いけれど、今日の夜には暖かいバンコクにいられるんだと思うと、むしろわくわくしてきた。

 

ホーチミンで乗り換え、20時頃スワンナプーム着の回りくどいタイ航空のチケットだった。

無事に搭乗し、日本→ホーチミンまでの呑気にビールを飲んでいたものの、ホーチミンに到着した瞬間、一気に不安に襲われた。

 

タイは初めてではないけれど、前はホテルの送迎が空港まで来てくれたから、自分で宿まで行くのは初めてだし、そもそも宿も決めていない。カオサンに安宿が密集しているという情報はどの本にも載っていたけど、そのカオサンまで無事に行けるのだろうか。

インターネットスペースで、スワンナプーム空港やカオサンの宿を調べて印刷した。

こんなことならもっと調べてから出発すべきだった…。

出発前から旅人気分で浮かれていたことを反省しても、もう遅い。

 

仕方なくホーチミンスワンナプームの飛行機に乗り込んだ。

本当に、どうかバンコクい到着しませんように…と祈ったけど、まぁ、時間通り着陸。

到着し、欧米人の集団はカオサンに行くはずだ!との憶測かついて行くと、見事バス乗り場に到着した。

「カオサン!」というとバスのチケットを売ってくれた。

どうやら、カオサンという場所は本当にあるらしい。安心。

 

ぴらぴらの紙のチケットを握りしめて外へ出ると、むあっとする暑さとガソリンと果物が腐った様な匂い。

ああ、私は1人ぼっちで、ここは日本じゃないんだ…。

 

欧米人がほぼ全員降車した。カオサンに到着。

バスを降りた途端、大音量の音楽とライト。大量の宿の客引き。

欧米人たちは宿の客引きに着いて行ったり、無視して歩き出していったり…。

私も客引きに着いて行ってみたけど、1泊1200バーツ!高い!

お断りして、恐いのでとにかく明るい道を歩こうと、1人でカオサンのメインストリートまで来てしまった。

 

もう21時になるのに、オープンテラスのクラブだかバーだかや露店で賑わっている。

道端には刺青があるアジア人や欧米人がビールを片手に座り込んで、通る人をじろりと監視しているかの様。

怖すぎる。

全員薬物中毒もしくはアルコール中毒もしくは何らかの犯罪者に見えてくる。

ここが日本だったら、ダッシュで帰宅するレベル。

でも今は、帰宅する家がない。

とにかく、宿を決めなくては。

「HOTEL」の文字を目がけて一心不乱に歩き、雑居ビルの様な建物へ入った。

入口には目つきが鋭いアジア人数人たむろしていて、とってもとってもとっても怖かったけど、目を合わせないようにしてフロントへ。

そんなところに座って何をしているのか本当に謎なのだけれど、ここは日本で言う栃木か何かですか。(泣)

フロントが女性だったことで安心して、値段を聞くと400バーツで、部屋は空いているから、見ても良いよと言う。

もうあの道をもう1度歩くくらいならどこでも良いから泊まりたい。

鍵がかかることだけ確認して、値段交渉もせずに決定。

値段交渉なんかして、お姉さん怒らせてたむろしている男の人達にチクられたら怖いもん。

 

広い部屋だが、ベッドの脇に大きな窓があるのが臆病者の私にはとても気になる。夜中になって、この窓から泥棒が入ったらどうしよう…。

「あの部屋、馬鹿そうな日本人が泊まってたぜ」なんて、1階のお兄さん方が作戦会議していたらどうしよう…。

ちょっと(?)ぽっちゃりしているけど黒髪つやつや、目だってぱっちりだし、襲われたらどうしよう…。

あーあ、何て無謀なことをしたんだろう私は。

早くお家に帰りたい…。

 

被害妄想と自意識過剰はそれくらいにして、とりあえず喉が渇いたしやはりビールが飲みたいので、コンビニへ向かうことにする。

数10mの道を、びくびくしていることを悟られないように、カオサンの常連に見えるように意識しながら歩き、ビールとマンゴー味のカクテルとお水を購入して部屋へ逃げ帰った。

 

こんなはずじゃない。

本の中では、カオサンで欧米人にビール奢ってもらったり、旅慣れた日本人と友達になって色々教えてもらったりしていたのだけれど…。

でも、まだ22時くらいだったけど、もうこれ以上外に出られない。

 

よし、シャワーを浴びよう。

………………洗面所、臭……………。

しかも、HOTシャワーって言ってたのにお湯でないし、水圧弱すぎ……。

何とかシャワーを浴びたものの、ドライヤーは……ないよね。そうだよね。

仕方なく濡れた髪のままで一人で旅の無事を祈って乾杯。

おやすみなさい…。ぐすん。

 

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うるさい!!!!!!!!!!!!!!!!!

寒い!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

3階の部屋でで窓を閉めきっているのに、バーやクラブで流す大音量の音楽がどんどこどんどこ聞こえてくる。

エアコンは温度や風量の調節ができない。

しかもエアコンの電源はなくて、部屋そのものの電源を入れるか切るかしかできないから、エアコンを消すと電気も消えてしまうという不便さ。

 

3時まで眠れませんでした。

2週間、私はどうなってしまうのでしょう。